中垣 俊之 (Toshiyuki nakagaki)
専門分野
物理エソロジー、原生生物学、数理生物学、生物物理学、生物模倣型工学、比較動物行動学、細胞生物学、生理学、生物情報論、輸送現象論、バイオメカニクス、非線形動力学
プロフィール
生物の行動は、環境情報を取り込んだ後に得られる情報処理のアウトプットであり、その特性やしくみの解明は自然知能の根本問題です。現存する生物は自然淘汰によって高度に洗練された情報機能を有しており、天与の情報機械といえます。その基本設計を解明するために、いわばその初号機たる単細胞生物に注目しています(注1)。その方法論として、細胞の行動を力学の運動方程式で記述することによって、身体運動制御と問題解決知能のアルゴリズムを抽出します。これは、生物の「くせ」に根ざした情報技術の開拓であり、将来的にはヒトの思考や行動に馴染みの良い知能機械の設計指針をもたらすと期待しています。(注1:ならびに二号機三号機たる進化的初期に登場した生物にも徐々に対象を広げつつあります)
学歴
- 1987年3月 北海道大学 薬学部卒 (薬学学士)
- 1989年3月 北海道大学 薬学研究科修了 (薬学修士)
- 1997年3月 名古屋大学 人間情報学研究科修了(学術博士)
職歴
- 1989年4月-1994年5月 製薬企業
- 1995年4月-1997年3月 愛知県立通信制高等学校非常勤講師
- 1997年4月-2000年3月 理化学研究所 基礎科学特別研究員
- 2000年4月-2000年10月 理化学研究所 フロンティア研究員
- 2000年11月-2010年3月 北海道大学 電子科学研究所 助教授/准教授
- 2002年-2010年3月 大阪大学 生命機能研究科 客員助教授/客員准教授
- 2010年4月-2013年9月 公立はこだて未来大学システム情報科学部 教授
- 2010年4月-2013年9月 北海道大学 トポロジー理工学教育研究センター 客員教授
- 2010年4月-現在 大阪大学 生命機能研究科 客員教授
- 2013年10月-現在 北海道大学 電子科学研究所 教授
- (1999年7月プラハ科学工科大学非線形動力学センター(1ヶ月)に滞在)
- (2004年2月-10月オックスフォード大学数学研究所(8ヶ月)、ユタ大学数学科(2ヶ月)に滞在)
仕事の紹介
生物の行う情報処理を研究しています。ヒトも含めて生き物は、すばらしい能力を兼ね備えています。長い年月をかけた進化による洗練の賜物でしょう。たとえば、野球選手はフライボールの落下点に向かって走っていけます。いとも簡単にやってのけますが、どのような方法で着地点を割り出しているのか、実はまだよくわかっておりません。ニュートンの運動方程式を解いてボールの弾道計算をしている、とは思えませんから、何か別の方法があるはずです。一体どのような仕組みなのでしょうか? 情報処理の生き物らしさとは? 翻って、単細胞生物を見てみましょう。単細胞とて、生きたシステムですから、生き物らしい情報処理をして然るべきです。単純な分、生き物らしさの本質に迫りやすいかもしれません。私たちは、このような考えに基づき、比較的単純な生き物を中心に、その情報処理を調べています。どれほど難しい問題を解くことができるのか? その解法はどうか? さらに、単純生物の研究を軸に、ヒトも含めた生物全般に共通する情報処理の特徴抽出にも取り組んでいます。「単細胞」などと侮ることなかれ、多くのことを学ぶことができるのです。
粘菌行動の賢さ
粘菌は巨大なアメーバ型生物でありながら、迷路の最短経路を探し出す計算能力を持っていました。環境条件があちこちで異なるような場所では、全体を通じて危険度が最小になる経路を探し出すこともできました。あちこちに小さい餌場所が点在する場合では、多目的(経済性、耐故障性、効率)に最適化されたネットワーク構造を作りだし、なるべく多くの餌場所にありつくことができました。これらは、単細胞レベルでの予想以上の賢さを示す証拠として注目されています。その解法はいかに? 粘菌の動きを実験で調べ、粘菌の計算方法を再現する数理モデルを構成することに成功しました。粘菌の計算能力についてさらに研究を押し進めています。
工学的な応用
粘菌の解法は、新しい最適化アルゴリズムとして工学的な応用が期待されています。一例として、カーナビがあげられます。現行のダイクストラ法を補うような、変動する渋滞状況に柔軟に対応する性質や大体良い経路をいくつもあげる性質が示されています。また、多目的最適化能力の応用例として、都市間交通ネットワークのデザインにも援用できるかもしれません。一般的な最適化手法として、現実の粘菌に拘る事なく、より洗練されたアルゴリズムへと開発することも興味深いテーマです。
記憶学習、迷い、心理
生き物らしい情報処理の一面として、記憶学習能力などのいわゆる高次脳機能があげられます。それらは既に単細胞の段階で既に存在するようです。たとえば、粘菌は、何度も周期的に刺激を受けますと、次の刺激のタイミングを予測するようになります。その後しばらくしてから再び刺激をしますと以前経験した刺激の周期を思い出すこともあります。このようなリズム性の時間記憶能力は、体内の代謝反応が作り出すリズムの自然な性質として表れうる事がわかりました。この種の時間記憶は、生物界全般にみられるものと予想しています。また、粘菌は、弱い毒に遭遇すると、しばらく立ち止まった後、乗り越えるか、引き返します。どちらの行動をとるかは、個体によって異なります。個性や迷いの表れと思われます。これら比較的高次な情報処理機能の仕組みを、反応拡散方程式と呼ばれるある種の運動方程式(偏微分方程式)で捉えています。更なる高次心理的な行動の探索と機構解明を目指しています。
複雑知能システムとしての生物の集団挙動
粘菌は巨大な多核単細胞体ですが、多数の単核単細胞の集団と見ることもできます。同質な細胞からなる集団が、集団レベルでは思いもよらぬ機能性を発揮しているのです。生物システムでは、多様な集団、例えば、蟻や魚や鳥の群れ、歩行者の流れ、脳内の神経細胞集団など、があります。集団挙動として初めて表れる機能性は、「創発」現象として複雑系科学の中心テーマになっています。複雑系科学の進展に伴い、実体の違いを超えて通底する基本数理構造があるのではないかと言われています。生物に特有の「適応性」をキーワードにして、創発現象を統一的に捉える試みを続けています。
身体、運動、知
生物システムの「運動」は、情報処理のアウトプットであり、環境へのはたらきかけです。脳に代表される生物の情報処理システムはすばらしいものですが、現実世界との関わりを持つのは身体であり、身体と情報系の相互作用が興味深い問題としてあります。もとより、進化の歴史を俯瞰してみますと、身体系と情報系は元来不可分のものでした。この観点から、そもそも運動の制御が進化的にどのように発達してきたかを、アメーバ、線虫、ウジ虫、プラナリア、貝、芋虫、ミミズ、ヘビ、ヤスデなど、一連の運動形態の多様性を比較して、メカニクスの観点から捉え直すことを目指しています。
科学のよろこび
私たちの研究成果は、 NATUREやSCIENCEといった一流の科学雑誌に何度か紹介され、その質の高さが示されています。また、米•独•仏•英•伊など、各国のTV、新聞、雑誌などでもしばしば紹介され、関心の目が向けられました。2008年には裏ノーベル賞とも呼ばれるイグノーベル賞(認知科学賞)を受賞し、また2010年には爆ノーベル賞(NHK番組「爆笑問題の日本の教養」主催)のほか函館市長賞や二度目のイグノーベル賞(交通計画賞)を受賞し、研究のユニークさが強調されました。これらの成果は、多くの科学者の力を借りて、国際的、国内的な共同研究プロジェクトを押し進めてきた賜物です。また、研究テーマの身近さ、なじみやすさから、小学•中学•高校生や市民への科学コミュニケーションの機会も多数頂き、積極的に取り組んで参りました。科学は、知的なエンターテイメントであり、それだけでも人間に喜びをもたらすものだと思っています。多くの方々と、科学のすばらしさを分かち合えることは私たち自身の喜びでもあります。
業績リスト
単行本・分担執筆
- 中垣俊之、「粘菌 偉大なる単細胞が世界を救う」、文春新書 (2014-10) 1-198. 文芸春秋社
- 中垣俊之 文、斉藤俊行 絵、「かしこい単細胞 粘菌」、 福音館書店 月刊「たくさんのふしぎ」第332号(2012-11)
- 中垣俊之、「粘菌―その驚くべき知性―」 PHPサイエンスワールド新書 (2010-4) 1-198. PHP研究所
- 黒田茂、中垣俊之:”生命現象の物理学ー生物行動の運動方程式をめざしてー”、 物理学ガイダンス(日本評論社編集部編)、189—216、日本評論社、2014年
- 中垣俊之: “生命情報処理の現象数理学ー粘菌の迷路解きー”, 現象数理学入門(三村昌泰編)、東京大学出版会、27—46、2013年
- 小林亮、中垣俊之 “真正粘菌の運動と知性” [理論生物学(望月敦編著)] pp. 176-200, 2011年. 共立出版
- Mark D. Fricker, Lynne Boddy, Toshiyuki Nakagaki, Daniel Bebber: “Adaptive biological networks” in [Adaptive Networks: Theory, Models and Applications] edited by T. Gross and H. Sayama, pp. 51-70, Springer Verlag (2009)
- 上田哲男、中垣俊之 “細胞に心はあるか:細胞行動の心理生理学の試み” [脳と心のバイオフィジクス(松本修文編著)] (1997) 53-67. 共立出版
- 上田哲男、中垣俊之 “粘菌行動の自己組織化-Phase Locking と情報制御-” [自己組織化 -生物に見る複雑多様性と情報処理-(都甲潔、松本元編著)] (1996) 86-102. 朝倉書店
原著論文
- Shigeru Kuroda, Seiji Takagi, Toshiyuki Nakagaki and Tetsuo Ueda: “Allometry in Physarum plasmodium during free locomotion: size versus shape, speed and rhythm”, Journal of Experimental Biology, Vol. 218, 3729/3738 (2015). doi: 10.1242/jeb.124354
- Jean-Paul Rieu, Helene Delano-Ayari, Seiji Takagi, Yoshimi Tanaka, Toshiyuki Nakagaki: “Periodic traction in migrating large amoeba of {¥it Physarum Polycephalum}”, J. R. Soc. Interface, Vol.12, 20150099 (2015)
- I. Kunita, S. Kuroda, K. Ooki, T. Nakagaki: “Attempts to retreat from a dead-ended long capillary by backward swimming in {¥it Paramecium}”, Frontiers in Microbiology, Vol. 5, Article 270, 1/8 (2014).
- S. Kuroda, I. Kunita,Y. Tanaka, A. Ishiguro, R. Kobayashi, and T. Nakagaki : “Common mechanics of mode switching in locomotion of limbless and legged animals”, Journal of Royal Society Interface, Vol. 11, 20140205 (2014).
- Qi Ma, Anders Johansson, Atsushi Tero, Toshiyuki Nakagaki, David J. T. Sumpter: “Current reinforced random walks for constructing transport network”, The Royal Soc. Interface, Vol. 10, 20120864 (2013).
- Itsuki Kunita, Sho Sato, Tetsu Saigusa and Toshiyuki Nakagaki: “Ethological response to periodic stimulation in {¥it Chara} and {¥it Brepharisma}”, Natural Computing and Beyond, Proceedings in Information and Communications Technology (PICT), Vol. 6, Springer-Verlag, 3-13 (2013).
- I. Kunita, K. Yoshihara, A. Tero, K. Ito, C. F. Lee, M. D. Fricker and T. Nakagaki: “Adaptive path-finding and transport network formation by the amoeba-like organism {¥it Physarum}”, Natural Computing and Beyond, Proceedings in Information and Communications Technology (PICT), Vol. 6, Springer-Verlag, 14-29 (2013).
- I. Kunita, K. Sato, Y. Tanaka, Y. Takikawa, H. Orihara, and T. Nakagaki: “Shear Banding in An F-actin Solution”, Physical Review Letters, Vol. 109, 248303 (2012).
- Ryo Kobayashi, Toshiyuki Nakagaki, Akio Ishiguro: “Novel control principle based on the discrepancy function”, RIMS Kokyuroku Bessatsu B31, 61-77 (2012), Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University.
- Kei-Ichi Ueda, Seiji Takagi, and Toshiyuki Nakagaki: “Tactic direction determined by the interaction between oscillatory chemical waves and rheological deformation in an amoeba”, Physical Review E 86, 011927 (2012).
- T. Umedachi, R. Idei, T. Nakagaki, R. Kobayashi and A. Ishiguro: “Fluid-Filled Soft-Bodied Amoeboid Robot Inspired by Plasmodium of true slime mold”, Advanced Robotics, Vol. 26, 693-707, (2012).
- Yoshimi Tanaka, Kentaro Ito, Toshiyuki Nakagaki, and Ryo Kobayashi : “Mechanics of peristaltic locomotion and role of anchoring”, The Royal Soc. Interface, Vol.9, 222-233 (2012).
- Makoto Iima and Toshiyuki Nakagaki : “Transport and mixing of chemicals inside the body of a micro-organism”, Journal of Mathematical Medicine and Biology, Vol. 29, 263-281 (2012)
- Kentaro Ito, Anders Johansson, Toshiyuki Nakagaki, Atsushi Tero: “Convergence properties for the Physarum solver”, arXiv:1101.5249v1[math.OC] 27 Jan 2011
- T. Umedachi, K. Takeda, T. Nakagaki, R. Kobayashi and A. Ishiguro: “A Soft Deformable Amoeboid Robot Inspired by Plasmodium of True Slime Mold”, International Journal of Unconventional Computing, Vol. 7, 449-462, (2011).
- Robert D. Guy, Toshiyuki Nakagaki and Grady B. Wright : “Flow-induced channel formation in the cytoplasm in motile cells”, Physical Review E, Vol. 84, 016310 (2011).
- Shin Watanabe, Atsushi Tero, Atsuko Takamatsu, Toshiyuki Nakagaki: “Traffic optimization in railroad networks using an algorithm mimicking an amoeba-like organism, {¥it Physarum} plasmodium “, Biosystems, Vol. 105, 225-232 (2011).
- T. Latty, K. Pamsch, K. Ito, M. Middendorf, T. Nakagaki, M. Beekman: “Construction of seld-organized transportation networks in the polydomous Argentine ant”, Journal of The Royal Society, Interface, doi:10.1098/rsif.2010.0612, (2011)
- K. Ueda, S. Takagi, Y. Nishiura, and T. Nakagaki : “Mathematical model for contemplative amoeboid locomotion”, Physical Review E, 83, 021916 (2011)
- Y. Tanaka, T. Nakagaki: “Cellular computation realizing intelligence of slime mold Physarum polycephalum”, Journal of Computational and Theoretical Nanoscience, invited review, accepted in May 15, 2010.
- K. Ito, D. Sumpter, T. Nakagaki : “Risk management in spatio-temporally varying field by true slime mold”, NOLTA (Nonlinear Theory and Application) journal, IEICE. Vol.1, 26-36 (2010)
- U. Takuya, K. Takeda, T. Nakagaki, R. Kobayashi, A. Ishiguro : “A soft-bodied fluid-driven amoeboid robot inspired by plasmodium of true slime mold”, The proceedings of the 2010 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS 2010)
- 梅舘拓也,武田光一,中垣俊之,小林 亮,石黒章夫,真正粘菌変形体から着想を得た自律分散制御方策の実験的検証,計測自動制御学会論文集,46-11, 706-712 (2010)
- T. Nakagaki : “Fully decentralized control of a soft-bodied robot inspired by true slime mold”, Biological Cybernetics, 102, 261-269 (2010)
- Atsushi Tero, Toshiyuki Nakagaki, Kazutaka Toyabe, Kenji Yumiki and Ryo Kobayashi : “A method inspired by Physarum for solving the Steiner problem”, International Journal of Unconventional Computing, 6, 109-123 (2010)
- A. Tero, S. Takagi, T. Saigusa, K. Ito, D. P. Bebber, M. D. Fricker, K. Yumiki, R. Kobayashi and T. Nakagaki : “Rules for biologically-inspired adaptive network design”, Science, 327 : 439-442 (2010)
- T. Yamamoto, S. Mitsuru, K. Takashi, M. Seiji, M. Yamaguchi, A. Tero, S. Takagi and T. Nakagaki : “Kinetic study of anti-viral ribavirin uptake mediated by hCNT3 and hENT1 in Xenopus laevis oocytes”, Biophysical Chemistry, 147, 59-65 (2010)
- T. Umedachi, K. Takeda, T. Nakagaki, R. Kobayashi and A. Ishiguro : “Taming Large Degrees of Freedom -A Case Study with an Amoeboid Robot-”, The proceedings of 2010 IEEE International Conference on Robotics and Automation (2010)
- T. Umedachi, T. Kitamura, T. Nakagaki, R. Kobayashi and A. Ishiguro : “A modular robot driven by protoplasmic streaming”, DISTRIBUTED AUTONOMOUS ROBOTIC SYSTEMS 8 (Eds. H.Asama et al.), 193-202, Springer (2009)
- Mark D. Fricker, Lynne Boddy, Toshiyuki Nakagaki, Daniel Bebber: “Adaptive biological networks” in [Adaptive Networks: Theory, Models and Applications] edited by T. Gross and H. Sayama, 51-70, Springer Verlag (2009)
- Atsushi Tero, Tetsu Saigusa and Toshiyuki Nakagaki: “Protoplasmic computing to memorize and recall periodic environmental events”, Proceedings of International Workshop on Natural Computing (Springer-verlag ), PICT 1, Springer-verlag : 213-221- (2009)
- Toshiyuki Nakagaki, Atsushi Tero, Ryo Kobayashi, Isamu Onishi, Tomoyuki Miyaji: “Computational ability of cells based on cell dynamics and adaptability”, New Generation Computing, Ohmsha-Springer, 27(1) : 57-81 (2008)
- A. Ishiguro, T. Umedachi, T. Kitamura, T. Nakagaki and R. Kobayashi : “A fully decentralized morphology control of an amoeboid robot by exploiting the law of conservation of protoplasmic mass”, Proceedings of IROS WS 2008 (2008)
- Atsushi Tero, Kenji Yumiki, Ryo Kobayashi, Tetsu Saigusa, Toshiyuki Nakagaki: ” Flow-network adaptation in Physarum amoebae”, Theory in Biosciences. Vol. 127, 89-94 (2008)
- Hiroyasu Yamada and Toshiyuki Nakagaki : “Flow rate by peristaltic movement in plasmodial tube of Physarum polycephalum”, American Institute of Physics Conference Proceedings 1028, Collective dynamics: Topics on Competition and Cooperation in the Biosciences, 210-214 (2008)
- Tomoyuki Miyaji, Isao Ohnishi, Atsushi Tero and Toshiyuki Nakagaki “Failure to the shortest path decision of an adaptive transport network with double edges in Plasmodium system”, International Journal of Dynamical Systems and Differential Equations, Vol. 1, 210-219 (2008)
- Kenji Matsumoto, Seiji Takagi and Toshiyuki Nakagaki : “Locomotive Mechanism of Physarum Plasmodia based on Spatiotemporal Analysis of Protoplasmic Streaming”, Biophysical Journal, Vol. 94, 2492-2504 (2008)
- Tetsu Saigusa, Atsushi Tero, Toshiyuki Nakagaki and Kuramoto Yoshiki : “Amoebae anticipate periodic events”, Physical Review Letters, Vol. 100, 018101 (2008)
- Toshiyuki Nakagaki & Robert Guy: “Intelligent behaviors of amoeboid movement based on complex dynamics of soft matter”, Soft Matter, Vol. 4, 57-67 (2008)
- Tetsu Saigusa, Toshiyuki Nakagaki : “Anticipation of periodic environmental changes in an amoeba.”, Noise and Fluctuations American Institute of Physics Conference Proceedings Vol. 922, 655-658 (2007)
- Toshiyuki Nakagaki, Makoto Iima, Tetsuo Ueda, Yasumasa Nishiura, Tetsu Saigusa, Atsushi Tero, Ryo Kobayashi and Kenneth Showalter : “Minimum-risk path finding by an adaptive amoebal network”, Physical Review Letters, Vol. 99, 068104 (2007)
- Hiroyasu Yamada, Toshiyuki Nakagaki, Ruth E. Baker, Philip K. Maini: “Dispersion relation in oscillatory reaction-diffusion systems with self-consistent flow in true slime mold”, Journal of Mathematical Biology, Vol. 54, 745-760 (2007)
- Seiji Takagi, Yasumasa Nishiura, Toshiyuki Nakagaki, Tetsuo Ueda, Kei-ichi Ueda: “Indecisive behavior of amoeba crossing an environmental barrier”, Proceedings of Int. Symp. On Topological Aspects of Critical Systems and Networks (World Scientific Publishing Co.), 86-93 (2007)
- Toshiyuki Nakagaki, Tetsu Saigusa, Atsushi Tero, Ryo Kobayashi: “Effects of amount of food on path selection in the transport network of an amoeboid organsim”, Proceedings of Int. Symp. On Topological Aspects of Critical Systems and Networks (World Scientific Publishing Co.), 94-100 (2007)
- Atsushi Tero, Ryo Kobayashi and Toshiyuki Nakagaki: “Mathematical model for adaptive transport network in path finding by true slime mold”, Journal of Theoretical Biology, Vol. 244, 553-564 (2007)
- Ryo Kobayashi, Atsushi Tero and Toshiyuki Nakagaki: “Mathematical model for rhythmic amoeboid movement in the true slime mold”, Journal of Mathematical Biology, Vol.53, 273-286 (2006)
- Atsushi Tero, Ryo Kobayashi, Toshiyuki Nakagaki: “Physarum solver – a biologically inspired method for road-network navigation -“, Physica A, Vol.363, 115-119 (2006)
- Hu Yan, Hatsuki Shiga, Etsuro Ito, Toshiyuki Nakagaki, Seiji Takagi,Tetsuo Ueda, and Kaoru Tsujii, “Super Water-Repellent Surfaces with Fractal Structures and their Potential Application to Biological Studies”, Colloid. Surf. A, Vol.284-285, 115-119 (2006)
- Hisashi Haga, Irahara Chikako, Ryo Kobayashi, Toshiyuki Nakagaki and Kazushige Kawabata: “Collective movement of epithelial cells on a collagen gel substrate”, Biophysical Journal, Vol.88 (2005), 1-7.
- Atsushi Tero, Ryo Kobayashi and Toshiyuki Nakagaki: “Coupled oscillator model with a conservation law in rhythmic amoeboid movements of plasmodial slime mold”, Physica D Vol.205 (2005), 125-135.
- Toshiyuki Nakagaki, Ryo Kobayashi, Tetsuo Ueda and Yasumasa Nishiura: “Obtainning multiple separate food sources: Behavioural intelligence in the Physarum plasmodium”, Proc. R. Soc. Lond. B, Vol.271(2004), 2305-2310.
- Hiroyasu Yamada, Reiko Tanaka and Toshiyuki Nakagaki: “Sequences of symmetry-breaking in phyllotactic transitions”, Bulletin Math. Biol., Vol.66 (2004), 779-789.
- Toshiyuki Nakagaki, Hiroyasu Yamada and Masahiko Hara: “Smart network solutions in an amoeboid organism”, Biophys. Chem., Vol.107 (2004), 1-5.
- Hiroyasu Yamada, and Toshiyuki Nakagaki: “Oscillation patterns in cytoplasmic networks of the Physarum plasmodium” Traffic and Granular Flow ’01 (edited by M. Fukui, Y. Sugiyama, M.Schreckenberg, D. E. Wolf) Springer-Verlag, (2003), 563-568.
- Toshiyuki Nakagaki: “Smart behavior of true slime mold in labyrinth” Research in Microbiology Vol.152 (2001), 767-770. [Invited review].
- Toshiyuki Nakagaki, Hiroyasu Yamada and A’gota To’th: “Path finding by tube morphologenesis in an amoeboid organism” Biophys. Chem. Vol.92 (2001), 47-52.
- Atsuko Takamatsu, Reiko Tanaka, Hiroyasu Yamada, Toshiyuki Nakagaki, Teruo Fujii and Isao Endo: “Spatio-temporal symmetry in rings of coupled biological oscillators of Physarum Plasmodium” Phys. Rev. Lett. Vol.87 (2001), 0781021-4.
- Toshiyuki Nakagaki, Hiroyasu Yamada and A’gota To’th: “Maze-solving by an amoeboid organism”Nature Vol.407 (2000), 470
- Toshiyuki Nakagaki, Hiroyasu Yamada and Tetsuo Ueda: “Interaction between cell shape and contraction pattern” Biophys. Chem. Vol.84 (2000), 195-204.
- Toshiyuki Nakagaki, Hiroyasu Yamada and A’gota To’th: “Maze-solving by an amoeboid organism” Nature Vol.407 (2000), 470
- Toshiyuki Nakagaki, Hiroyasu Yamada and Tetsuo Ueda: “Interaction between cell shape and contraction pattern” Biophys. Chem. Vol.84 (2000), 195-204.
- Toshiyuki Nakagaki, Hiroyasu Yamada and Tetsuo Ueda “Modulation of cellular rhythm and photoavoidance by oscillatory irradiation in the Physarum plasmodium” Biophys. Chem. Vol.82 (1999), 23-28
- Toshiyuki Nakagaki, Hiroyasu Yamada and Masami Ito “Reaction-diffusion-advection model for pattern formation of rhythmic contraction in a giant amoeboid cell of the Physarum plasmodium” J. Theor. Biol. Vol.197 (1999), 497-506.
- Hiroyasu Yamada, Toshiyuki Nakagaki and Masami Ito “Pattern formation of a reaction-diffusion system with self-consistent flow in the amoeboid organism Physarum plasmodium” Phys. Rev. Vol.E59 (1999), 1009-1014.
- 中垣俊之、山田裕康、伊藤正美 “粘菌変形体における収縮リズムのパターン形成モデル” 第13回生体・生理工学シンポジウム論文集(1998)437-440.
- 中垣俊之、山田裕康、伊藤正美 “結合振動子系の自己組織化としてみたアメーバ様細胞の行動” 第12回生体・生理工学シンポジウム論文集(1997)161-164.
- 中垣俊之、山田裕康、伊藤正美 “結合振動子系の自己組織化としてみた粘菌の行動” 人工生命とその応用シンポジウム論文集(1997)31-37.
- Toshiyuki Nakagaki and Tetsuo Ueda “Phase switching of oscillatory contraction in relation to the regulation of amoeboid behavior by the plasmodium of Physarum polycephalum” J. Theor. Biol. Vol.179 (1996), 261-267.
- Toshiyuki Nakagaki Shoji Umemura, Yasutaka Kakiuchi and Tetsuo Ueda “Action spectrum for sporulation and photoavoidance in the plasmodium of Physarum polycephalum, as modified differentially by temperature and starvation” Photochem. Photobiol. Vol.64 (1996), 859-862.
- A. Nagahisa, R. Asai, Y. Kanai, A. Murase, M. Tsuchiya-Nakagaki, T. Nakagaki,, T.-S. Shieh and K. Taniguchi “Non-specific activity of (racemi)-CP-96,345 in models of pain and inflammation” British J. Pharmacol. Vol.107 (1992), 273-275.
- T.i Nakagaki, J. Oda, H. Koizumi, T. Fukaya, C. Yasui and T. Ueda “Ultraviolet action spectrum for intracellular free Ca2+ increase in human epidermal keratinocytes” Cell Struct. Funct. Vol.15 (1990), 175-179.
- Tetsuo Ueda, Toshiyuki Nakagaki and Tomomi Yamada “Dynamic organization of ATP and birefringent fibrils during free locomotion and galvanotaxis in the plasmodium of Physarum polycephalum” J. Cell Biol. Vol.110 (1990), 1097-1102.
- Tetsuo Ueda, Toshiyuki Nakagaki and Yonosuke Kobatake “Patterns in intracellular ATP distribution and rhythmic contraction in relation to amoeboid locomotion in the plasmodium of Physarum polycephalum” Protoplasma Vol.Suppl 1 (1988), 51-56.
- Tetsuo Ueda, Yoshihito Mori, Toshiyuki Nakagaki and Yonosuke Kobatake “Changes in cAMP and cGMP concentration, birefringent fibrils and contractile activity accompanying UV and blue light photoavoidance in plasmodia of an albino strain of Physarum polycephalum” Photochem. Photobiol. Vol.47 (1988), 271-275.
- Tetsuo Ueda, Yoshihito Mori, Toshiyuki Nakagaki and Yonosuke Kobatake “Action spectra for superoxide generation and UV and visible photoavoidance in plasmodium of Physarum polycephalum” Photochem. Photobiol. Vol.48 (1988), 705-709.
総説、解説、記事など
- 中垣 俊之 : 「物理エソロジーの道すがら」、人工知能学会誌、30(4) : 525-531 (2015)
- 中垣 俊之 : 「粘菌の情報伝達メカニズム」、週間日本医事新報、医事新報社、(4752) : 63- (2015)
- 中垣 俊之 : 「単細胞生物の物理エソロジー ー輸送現象論から読み解く賢さのしくみー」、化学と工業、68(4) : 342-344 (2015)
- 黒田 茂、田中 良巳、中垣 俊之 : 「脚式と非脚式の這行ロコモーションにおける運動モードスイッチングの共通力学」、計測と制御、54(4) : 248-253 (2015)
- 中垣俊之:”アメーバとヒトのあいだー生命知の起源とイグノーベル賞ー”、人間教育講座2013年度版(慶応義塾大学理工学部編), 145-200 (2014-Mar-31)
- 中垣俊之:”複雑系知能学への招待ー未来大の研究現場からー”、 函館学ブックレットNo. 29, 1-47 (2014-Mar-31)
- 中垣俊之:”粘菌によせる関心の由来ー生物らしさとはー”、 科学、Vol. 83, NO. 8, 892-893, 岩波書店 (2013-Aug)
- 中垣俊之:” 餌に向かって動く粘菌 “, 少年写真新聞 理科教育ニュース, NO. 866 (2012-Nov-18)
- 中垣俊之:” 知性とは何か 人間と自然のこれからを粘菌に訊く “, 広告, 第53巻2号、通巻389号 ー恋する芸術と科学ー, 116-117、博報堂 (2012-Aug)
- 中垣俊之:” 粘菌からのぞく行動知の起源~学際的視点から~ “, 熊楠ワークス, NO. 39, 4-13 (2012-Apr)
- 中垣俊之:” 迷路を解く巨大アメーバ細胞:粘菌 “, 函館地方精神保健協会機関誌「あすをきずく」, NO. 19, 16-35 (2012-Mar)
- L. Heaton, B. Obara, V. Grau, N. Jones, T. Nakagaki, L. Boddy, M. D. Fricker : “Analysis of fungal network”, Fungal Biology Reviews, Vol. 26, 12-29 (2012).
- 中垣俊之:”単細胞(原始生命体)に学ぶ生命知のからくり”, 東洋学術研究, Vol. 50(1), 165-193 (2011)
- Atsushi Tero, Toshiyuki Nakagaki, Ryo Kobayashi : “Common theory for path genesis in an adaptive network”, Proceedings of ICMC (2012)
- 伊藤賢太郎、中垣俊之:”粘菌ネットワークの賢さ”、 生物物理, Vol. 51(4), 178-181 (2011)
- 小林亮、中垣俊之、石黒章夫: “Designing a new control principle based on the discrepancy function”、 京都大学数理解析研究所講究録、(2012)
- 中垣俊之、小林亮: “原生生物粘菌による組み合わせ最適化法ー物理現象として見た行動知ー”、 人工知能学会誌, Vol. 26, 482-493 (2012)
- Toshiyuki Nakagaki: “The interconnected network of tubes constructed by a planar biological network of plasmodial slime mold”, J. Phys. Soc. Jpn. 80 (2011) 074801
- 北海道新聞の夕刊コラム魚眼図に月一回のペースで執筆 (2011年から2016年現在まで)
- 中垣俊之:”単細胞生物粘菌の「賢さ」を探る”, 科研費NEWS, 2010年度VOL.4, p.13 (2010)
- 高木清二、中垣俊之: “真正粘菌による自己組織的な鉄道網設計”, 現代化学、NO. 477, 48-51(2010年12月)
- T. Nakagaki : “Foraging behaviors and potential computational ability of problem-solving in an amoeba”, Proceedings in Information and Communications Technology (PICT2) Natural Computing, Proceedings of the 4th Int. Workshop on Natural Computing, Ed. by F. Pepper, H. Umeo, N. Matsui, T. Isokawa, Springer, 42-54 (2010)
- 中垣俊之: “粘菌の記憶と迷いのエソロジカルダイナミクス” 京都大学数理解析研究所講究録 NO.1704 第6回生物数学の理論とその応用 (2010-8) 165-171.
- T. Umedachi, K. Takeda, T. Nakagaki, R. Kobayashi and A. Ishiguro : “Taming Large Degrees of Freedom -A Case Study with an Amoeboid Robot-”, The proceedings of 2010 IEEE International Conference on Robotics and Automation (2010)
- T. Umedachi, T. Kitamura, T. Nakagaki, R. Kobayashi and A. Ishiguro : “A modular robot driven by protoplasmic streaming”, DISTRIBUTED AUTONOMOUS ROBOTIC SYSTEMS 8 (Eds. H.Asama et al.), 193-202, Springer (2009)
- M. D. Fricker, B. Lynne, T. Nakagaki and D. P. Bebber : “Adaptive biological networks”, Adaptive Networks: Theory, Models and Applications [Edited by T. Gross and H. Sayama], Springer : 51-70 (2009)
- 中垣俊之:“単細胞生物に見る北海道の「開拓者精神」”、月刊クオリティ姉妹誌うおんつ、Vol. 79, 1-20 (2009)
- 中垣俊之:“かしこい粘菌の話”、朝日小学生新聞、6/6より週一回計8回連載 (2009)
- 中垣俊之:“「薬学」から粘菌の「迷路解き」へ”、ファルマシア、Vol. 45, 547-552 (2009)
- 中垣俊之:“イグノーベル賞授賞式顛末記”、Journal of English Teaching UNICORN JOURNAL、NO. 69, 31-33 (2009)
- 手老 篤史、小林 亮、中垣 俊之 :「アメーバの迷路解きに学ぼう」, 数理科学, NO.535, 7-11, (2008)
- 手老 篤史、中垣 俊之、小林 亮 : 「アメーバに学ぶ経路探索の方法」, Materials Integration, 20(5) : 55-60 (2007)
- 小林 亮、手老 篤史、中垣 俊之 : 「粘菌による迷路の解法」, 細胞工学, 26(7) : 769-773 (2007)
- 中垣 俊之 : 「粘菌の行動に見る賢さ」, 粘菌 ー驚くべき生命力の謎ー (松本淳解説、伊沢正名写真)誠文堂新光社(東京): 118-119 (2007)
- 中垣俊之、手老篤史、小林亮: “粘菌の作る輸送ネットワークのダイナミクス” 第21回生体・生理工学シンポジウム論文集, 97-100 (2006)
- 手老篤史、小林亮、中垣俊之: “真正粘菌変形体による最適ネットワーク” 京都大学数理解析研究所講究録 NO.1499 (2006) 159-166.
- 中垣 俊之: 「あるアメーバ様生物の行動に見る賢さ−粘菌変形体のリズム性運動と編目体形−」,科学(岩波書店) 75: (2005) 1393-1395.
- Toshiyuki Nakagaki “How does an amoeba tackle some geometrical puzzles?” Proc. SICE Ann. Conf. (2005) 3537-3542.
- 中垣俊之、山田裕康 “粘菌変形体の形と機能 ” “アメーバの形と機能” [形の科学百科事典(形の科学会編集)] (2004) 253-256 朝倉書店
- 中垣俊之 “アメーバ様生物が作るコミュニケーションネットワークの形と機能”計測自動制御学会 システム・情報部門学術講演会資料集 (2003)
- 中垣俊之、小林亮 “真正粘菌変形体の運動とゾルゲル流路ネットワークの生理” 京都大学数理解析研究所講究録NO.1305(2003)1-7
- 小林亮、中垣俊之 “真正粘菌変形体の運動と形態形成に関する数理モデル” 京都大学数理解析研究所講究録NO.1305(2003)8-14
- 中垣俊之 “真正粘菌” [かたちの事典(高木隆司編著)] (2003) 386-387, 丸善
- 中垣俊之 “粘菌の流路ネットワーク形成と細胞リズム” 第17回生体・生理工学シンポジウム論文集(2002), 373-3 76.
- 中垣俊之 “アメーバ様生物粘菌の行動と計算” 電気学会産業システム情報化研究会資料NO.IIS-02-28(2002)29-32.
- 中垣俊之 “生物専攻課程に数理生物学を” 数学のたのしみ 30号(2002)43-48
- 中垣俊之 “To be stationary or oscillatory, that is a question? ” 日本時間生物学会会誌 8(2002)32-37
- 高松敦子、田中玲子、山田裕康、中垣俊之 “リング状に結合した粘菌振動子系における時空間振動パターン” 第13回自律分散システム・シンポジウム資料 (2001) 411-414
- 田中玲子、山田裕康、高松敦子、中垣俊之 “結合振動子系の解析-対称系のHopf分岐理論の適用” 第13回自律分散システム・シンポジウム資料(2001) 415-420
- 山田裕康、中垣俊之、田中玲子、高松敦子 “振動子の結合形態と位相パターン-粘菌ネットワーク形態ダイナミクスの解析をめざして-” 第13回自律分散システム・シンポジウム資料(2001) 421-4 24
- 中垣俊之、山田裕康 “粘菌の経路探索” 第13回自律分散システム・シンポジウム資料(2001) 425-428
- Toshiyuki Nakagaki ; “Do single-cell organisms have intelligence? Slime mould, for one, can solve a maze and find food” Times Higher Educational Supplement. No.1479 (2001, March 23) 24
- Toshiyuki Nakagaki “Amoeboid organisms may be much clever than we thought! ” Newsletter of RIKEN Frontier Research System (2001, February) 8-12.
- 中垣俊之 “迷路を解く単細胞生物” 遺伝 55巻3号(2001) 23-25
- 中垣俊之 “迷路を解く巨大アメーバ細胞:粘菌” 生物物理 41巻 (2001) 224-226
- 中垣俊之、山田裕康; “粘菌の収縮リズムと数理モデル” 京都大学数理解析研究所講究録 NO.1167 (2000) 65-68
- Toshiyuki Nakagaki, Hiroyasu Yamada ; “Rhythmic contraction and its fluctuations in an amoeboid organism of the Physarum plasmodium” [Quantum Information II. (Eds. T. Hida & K. Saito)] (2000) 107-123. World Scientific Publishing Co.
- 山田裕康、中垣俊之 “粘菌変形体の形態形成と細胞行動” 第12自律分散システム・シンポジウム資料(2000)303-306
- 山田裕康、中垣俊之、伊藤正美 “粘菌変形体におけるネットワーク形態に関連した収縮リズムのパターン形成” 第11自律分散システム・シンポジウム資料(1999)109-114
- 中垣俊之、山田裕康 “粘菌変形体の収縮リズムパターンと行動 ” 数理生物ニュースレター29号(1999)63-78.
- 中垣俊之、山田裕康、伊藤正美 “粘菌の収縮リズムのパターン形成モデルI -非局所結合写像モデルの構成と解析- 第10回自律分散システム・シンポジウム資料(1998)5-8
- 山田裕康、中垣俊之、伊藤正美 “粘菌の収縮リズムのパターン形成モデルII -反応拡散移流モデルの構成と解析-” 第10回自律分散システム・シンポジウム資料(1998)9-12
- Hiroyasu Yamada, Toshiyuki Nakagaki and Masami Ito “Pattern formation of reaction-diffusion model having self-determined flow in relation to amoeboid behaviour” RIKEN Review Vol.19 (1998), 148-148.
翻訳書
- 中垣俊之監訳:[キーナー/スネイド著 数理生理学 上巻 細胞生理学] (2005) 日本評論社 1-408.
- 中垣俊之監訳:[キーナー/スネイド著 数理生理学 下巻 システム生理学] (2005) 日本評論社 1-419.
- 田中玲子、山田裕康、高松敦子、中垣俊之 訳 [ゴルビツキー/スチュワート 対称性の破れとパターン形成の数理] (2003) 丸善 1-562.
当研究室に進学を希望する諸君へ
当研究室で大学院生活を送ってみたいと思う方は、ご連絡下さいませ。研究内容を見ていただくとわかると思いますが、当研究室では生物科学と数物科学の両方を用いたいと思っています。「両方とも」といわれると不安を憶えるかもしれませんが、入学前に十分身に付いているということは、たいていありませんから、その点は心配ありません。また、実験も理論も両方やるだなんて敷居が高い、と思ったとしたら、それは当然のことです。これから身に付けていこう、これからやってみようという意志があればオーケーです。そこから始めましょう。数物科学といっても、非常に広いので全部を扱うわけではありません。必要な部分を選択的にやることになります。ですから、必要に応じて選択的に取り組めるような素地、つまり学部で習う基本的な数学や力学をきちんと使いこなせることが肝心です。そこが最初の一里塚です。
皆さんのこれまでの専門が何であったかは、それほど問われません。どのようなことに興味があるのか、どのような見方をしているのか、など議論して、その人その人に個別の内容とペースでやっていくことになります。これまでの、学生さんの専門は、 生物学が一番多くて、その他に、情報科学、電子工学などでした。学外、海外からの学生さんもいます。どの人も、生物実験、動画像処理、数理モデリング、シミュレーションを行ってきましたが、力点の置き方は人それぞれです。フィールドワークに出ると幸せそうな人、室内の精密な実験が好きな人、やたら理論の勉強をする人、画像処理に凝る人、数理モデル化の上手な人、シミュレーションに抜かりのない人など。前例はありませんが、文系学部出身の方も歓迎です。
大学院で学ぶ学生さんは、おそらく初めて研究論文を書くという作業をします。自分の頭でよく考えることはもちろんですが、周りの先輩や先生の取り組み方をよくよく観察して、自分自身を省みることが肝要です。日々の生活の中で、非常にためになることを目撃するはずです。ヒントが沢山落ちています。そこから、学べるようになることが、まず第一かと思います。他山の石です。
特に教官の言葉は意味深です。先生の言葉そのものを聞くのではなく、その言葉によって先生が何を伝えようとしているのか想像して下さい。多くの場合、教官は、皆さんの頭の中にはないことを言っていますので、皆さん自身のした理解は、おそらく足りないか、往々にして間違っている、と思った方がよいでしょう。そいういうスタンスがとれるようになった学生さんは、著しく成長したように思われます。
研究内容もさることながら、研究の進め方を学ぶことが、学生さんにとっては重要です。プロの研究者として、企業に行ったとしても、世界のどこかに留学したとしても、ちゃんとやっていけるようになることが、皆さん自身のそして我々指導教官の目標です。「ちゃんと」という意味は、その場その場の経験が、ちゃんと血となり肉となって成長し続けられるスキルを持っているということです。
私は生物学が好きです。私自身の「好きさ加減」を追っているうちに自然と数物科学のユーザーになりました。フィールドワークも大好きです。野外の自然は、生き物に対する発想や感受性をとにかく刺激してくれます。心理学や認知科学、社会学も文学もずっと魅かれています。人文社会系の学問とも、物理エソロジーの観点から合流していければと思っています。数学や物理の教科書を学生さんといっしょに輪読するのも、私自身の勉強になってます。1年、2年と学生さんと議論をしていく中で、学生さんの成長に気付かされる瞬間は、本当に頼もしいものです。
当研究室の准教授は、理論物理者でして、特に統計力学や縮約理論やソフトマター物理学を専門にしています。助教は、電気工学科を出て数学研究科で学位を取った人です。どちらの方も、元は理論一筋でしたが、当研究室では実験をするようになりました。教官自身が、新しいことに取り組もうとしていて、しばしば素朴な出発点に立つことになるのですが、その素朴さをむしろ大事にする傾向があります。そのような雰囲気の研究室です。学生さんは、その中で、先生と二人三脚でやっていくことになります。二人三脚といっても、駆動力を出すエンジンは学生さんです。
見学希望の学生さんは、教官とまず話をします。その後、研究室の学生さんと直接話をしてもらいます。その会話には、教官はノータッチなので、一体どういうことが話されているのか知りません。良いことも、そうでないことも、ちゃんと話題になっているだろうと思います。「いろいろ話ができましたか?」と大学院生さんに聞いたこともありますが、「いろいろできまたよ。いろいろ。」とニヤリとされました。
私は、大学4年生で研究室に入ってから修士修了までの3年間で、研究活動に関する基本的な態度を学んだように思います。100%の研究生活であったなどとは、到底言えませんで、ふらふらと遊んでもいましたが、生まれてこのかた最も身の入った学びのときでした。そのおかげで、製薬企業での薬の探索研究にもやり甲斐を感じながら取り組めました。この三年間で、私は変わったように思います。それまでの自分からは予想だに出来なかった「ものごとの見方」に立ったような気がすることがあって、それによってこの世の見え方が結構変わりうるんだということを知りました。大げさな言い方ですが、今まで世界だと思っていたところのその外側(?)にもっと広い世界があったというような思いでした(何のことをいっているのか、意味不明かもしれませんね)。 大学院の経験はかように貴重でした。
大学院生とは、そのような可能性を秘めた大事な時間です。進学する研究室は、よく見極めて選んで下さいね。一度選んだら少なくともキリがつくまでは(修士修了か博士修了)、なんとしても頑張ってやりきって欲しいと思います。半年や1年でコロコロ宗旨替えするのは、あまり推奨いたしません。 といいますか、研究室の良さって簡単にわかるものでもないと思いますので、限られた情報の中での選択だとはいえ(やってみなければわからないことを、やる前にわかってしまうというのは無理があります)、選んだ以上は諦めて一区切りつくまで取り組んでみたらいかがでしょうか? そういう大らかさもまた良きものです。
まあ、とはいってみたものの、研究テーマに対する関心が自分の中で一向に高まってこないようなら、お互いにつらいので宗旨替えもやむを得ないのでしょうね。「教官の説明が不十分でコンセンサスが得られていなのがいけません」と言われれば、素直に反省いたします。そして、私は「研究を面白くしていくのは自分です」とよくいいます。このストックフレーズの意味することを、自分なりに解釈して繰り返し言い表そうとします。
話が少々飛びますが、内田樹さんのお書きになった「先生はえらい」という本を読みますと、学びとは何か? 学びが起動するとはどういうことか? また、それはどういう時に起こるのか? について教えられます。合点がいきました。私の側から、この本を推薦するのはどうしたものかとずっと躊躇してきまして、いつの日か学生さんの方から「先生はえらい」の話が出て来ないものかと何年も待っておりましたが、今ここにいたってしびれを切らした次第です。当研究室に来ても来なくても、これは一読の価値ありかと思われます。「これは重要なことだから教えたいというおせっかいな心」こそが、教える側の出発点であるという主旨のことも書いてあります。同感です。おせっかいな心で、この本を推薦しておきます。
さて、万が一、皆さんと一緒に大学院生活を送ることになったとしましたら、少しでも意義深く過ごしたいと思います。多くの先人から受け継いできたことを、次にきたる皆さんに受け渡したいと思っておりますので、どうぞよろしく御願します。内田さんの本の中では、受け取ったボールをまた次の人に渡すというパスのようなものだとおっしゃっております。同感です。大学院の生活は、皆さんにとっては決して楽ではないハズです。そして私たち教官にとっても楽なものではないことも頭の隅に置いておいて下さい。 (2016年3月31日記)