研究概要
単細胞生物は環境中のどのような情報を使って行動しているのでしょうか?彼らの行動は一見単純ですが、複雑な環境を生き抜くためには何らかの生存戦略が必要なはずです。細胞スケールのミクロな環境をデザインすることで、単細胞がもつ空間把握能力の理解を目指しています。例えば、環境に応じて遊泳と固着の2状態を切り替える単細胞ソライロラッパムシは、「すみっこ」空間に好んで固着します。どのように「すみっこ」を選んでいるのかは未知ですが、ひとつに周囲の構造物との接触を通して、空間把握を行っている可能性が出てきました。ミクロな構造物を動かしたり、構造物の形を変えた際に見られるラッパムシの応答から、メカニズム解明に迫ります。単細胞生物とのコミュニケーション?(インタラクション)が実現できた先に面白い世界があるのでは!そんな想いを形にしていきます。
研究業績
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論文
Syun Echigoya, Katsuhiko Sato, Osamu Kishida, Toshiyuki Nakagaki, Yukinori Nishigami. Switching of behavioral modes and their modulation by a geometrical cue in the ciliate Stentor coeruleus. Frontiers in Cell and Developmental Biology, 10, 1021469, 2022. doi: 10.3389/fcell.2022.1021469
外部資金
公益財団法人 住友財団, 2023年度 基礎科学研究助成, 細胞とのインタラクションを通した単細胞生物の外空間認識方法の解明, 2023年11月~ 2024年11月(予定)詳しくはこちら
公益財団法人 日本科学協会, 2021年度笹川科学研究助成, 2021年4月~2022年2月
受賞
最優秀発表賞, 日本原生生物学会+日本寄生虫学会東日本支部+日本衛生動物学会東日本支部 3学会合同大会, 2023年10月22日
IGP 2022 Publications Award, International Graduate Program, Graduate School of Life Science, Hokkaido University (北大IGP). March 3, 2023.
Best Poster Award, The 23rd RIES-HOKUDAI International Symposium 拓[Taku], December 5–6, 2022.
ひとこと
学部まで物理学科に所属しており、原生生物の行動研究を始めたのもラッパムシを知ったのも修士課程から。最近部屋を片付けていると、当時の大学院入試で提出した?研究計画の下書きが見つかりました。その一節に「微生物とコミュニケーションを取る方法を考えたい。(中略)ふざけてはいない。叶わなくても、夢として持ち続けたい。」とありました。5年経ってもちゃんと持ち続けた夢を今後形にしていきたいと思います。